愛染曼陀羅 あいぜんまんだら

絵画 / 鎌倉

  • 日本
  • 鎌倉時代
  • 絹本着色
  • 縦121.2㎝ 横90.9㎝
  • 一幅
  • 東京都港区南青山6-5-1
  • 根津美術館
  • 重要文化財

内院・外院および最外院より構成され、西方を上位とする三重の方曼荼羅である。内院は九区画に分け、それぞれ緑青地に截金の石畳文を置き、中央には宝瓶に載る月輪中に、蓮華座に坐す三目六臂の愛染明王を配し、四方に欲・触・愛・慢・の四金剛菩薩、四隅に四金剛女、外院は群青地に朱・茶・緑青・などを用いて蓮華唐草文を描き、四方に四摂菩薩をそれぞれ配する。最外院は黒地で四方に朱の四門を開き、緑青・群青で細草を描いている。愛染曼荼羅は、敬愛などのために修せられる愛染法に用いられるもので、入唐僧の将来目録にすでにその図を見出すことができるが、遺品は比較的少なく、そのうち太山寺本や隋心院本がよく知られている。本画像は、『曼荼羅集』所収の金剛薩埵を中心におく理趣会曼荼羅と構成を同じくし、儀軌教典としては、不空訳『大楽金剛菩埵修行成就儀軌』などを所依とする。描写筆致は精確で、胴の引き締まった諸尊の姿態や肉身に賦された強い隈取りなどは古い密教尊像に倣うもので、本館所蔵の金剛界八十一尊曼荼羅の画到にも通ずる、鎌倉時代前期にかかる愛染曼荼羅の数少ない善本の一つとして注目される。

愛染曼陀羅 あいぜんまんだら
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