流水文銅鐸 りゅうすいもんどうたく

考古資料 / 弥生

  • 兵庫県
  • 弥生
  • 1口
  • 兵庫県西宮市松下町2-28
  • 重文指定年月日:19600609
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 国宝・重要文化財(美術品)

 鋳銅。比較的厚手な鋳成。身の両側が、ほぼ直線的に広がる形態の重厚な中形銅鐸で、いわゆる外縁付鈕式に属するものである。
 鐸身は、両面共文様の基本には差異はなく、中央上寄りには狩猟の光景を鋳表した横帯を設け、その上に二段、下に四段の流水文を施している。裾には鋸歯文をめぐらせた裾横帯を設ける。
 全体に分厚く鋳上がりが悪く、湯切れ、型崩れと思われる部分の鋳掛けがあり、文様も鮮明でないが、流水文銅鐸の中でも比較的古い時期に属するものである。神戸市桜ヶ丘出土一号流水文銅鐸(昭和四十五年五月二十五日、国宝)を初鋳とする五箇の同笵銅鐸が知られているが、そのうちの二次鋳によるものである。特に中横帯に鋳表された画像は、同笵の銅鐸によって相互に不鮮明な箇所を補い合うことができる点で重要である。それによると一面は右端から両棲類の動物、弓を持つ人物が鹿の群を追う狩猟の図、その間に蜻蛉、蟹など、他の面は鹿の群と人物、動物の群などが鋳表されている。また同笵の証しは、鋳型の崩れや、笵補修による鋳成の様相からも察せられ、弥生時代の鋳造技術を知る上に貴重な資料であり、その学術的価値にはきわめて高いものがある。
 なお、三次鋳は、滋賀県新庄出土品(昭和二十八年三月三十一日、重要文化財)、四次鋳は、辰馬考古資料館蔵(昭和三十五年六月九日、重要文化財)、五次鋳は、鳥取県泊出土品(東京国立博物館保管)である。

流水文銅鐸

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