宍粟市山崎町御名にある浄土真宗西光寺(本願寺派)開山・圓空の肖像画である。裏書から西光寺第2世圓琳が本願寺8世蓮如から寛正3年(1462)に授与されたことがわかる、室町時代中期の作である。
寺伝によると、圓空は俗名を広(ひろ)瀬(せ)朝(あさ)村(むら)といい、室町時代初め宍粟郡長水城主であった広瀬氏の出自である。同像を所蔵する西光寺は、広瀬氏が室町前期に開基したと伝えられている。
圓空は応永14年(1407)に入寂した。よって本図が下賜されたという寛正3年(1462)からは半世紀ほど遡ることになる。そのため、どの程度像主の風貌を伝えているかは確かではないが、後の真宗における肖像画とは形式を異にし、禅宗の頂相(ちんぞう)や天台高僧像のような趣があり、初期真宗の肖像画の作例として極めて重要な作品と言える。