本件は、古墳時代後期の馬越長火塚(まごしながひづか)古墳から出土した副葬品を中心とする出土品一括である。
本資料をもっとも特徴づけるのは、鉄地金銅馬具であり、組み合せ関係も極めて良好である。また、いずれも鍍金が厚く施されており、遺存状況の良好な資料が多い。とりわけ、棘葉形杏葉は精美な忍冬唐草文で飾られ、当時の製作技術を知るうえで貴重な資料である。
また、大形の琥珀棗玉・水晶切子玉・ガラス勾玉など玉類が豊富に出土しているとともに、多量の須恵器も特筆される。
六世紀後半における鉄地金銅馬具の副葬を伴う埋葬を端緒として、断続的に八世紀まで葬送祭祀が行われたと考えられるのである。
以上本件は、東海地方を代表する古墳時代後期の大型古墳の出土品一括として、葬送祭祀の実態ならびに手工業生産の様相を考えるうえで極めて重要である。