籃胎蒟醤文箱 蝶

工芸品 漆工

  • 太田儔  (1931-)
  • オオタ、ヒトシ
  • 昭和61年 / 1986
  • 漆、籃胎、蒟醤・箱・1
  • h6.5 w26.0 d28.0
  • 第3回日本伝統漆芸展 西武アート・フォーラム 1986

太田壽 1931-

籃胎蒟醤文箱 蝶(らんたいきんまふばこ ちょう)

漆、籃胎、蒟醤
H6.5 W26 D28cm 1986年

OTA Hitoshi
Letter box, "Butterfly", kimma on rantai
Lacquer, rantai, kimma

籃胎の籃とはかご、胎とはボディー、つまり素地のこと。通常竹で作り、それに漆を塗り、器物を作り出すもののことである。蒟醤とは、漆面に刀で文様の線を彫り、それに漆面とは異なる色の色漆の粉を埋め、文様を表す技法のことである。蒟醤はもともとタイあたりで行われていたもので、江戸時代の中期、高松にもたらされ、彫漆とともに高松の漆器産業の主要な技法となって今日に至っている。太田僖はその伝統的な蒟醤に工夫を加え、新しい絵画的な表現を作り出した。それは0.5ミリ間隔で引かれた縦・横・対角線の線に色漆を埋め込んで文様を表すもので、それらが人間の目の中で混合して鮮明な文様の像を結ぶのである。カラーテレビの走査線からヒントを得たもので、こうすると中間色(たとえば橙)もあらかじめ混ぜられた色ではなく、線に埋められた原色(赤と黄)が目の中で混合するため、くっきりとした色として認識されるのである。この新技法によって色彩的にも図様的にも、蒟醤は飛躍的に表現の幅を広げたのである。


1931年 岡山市生まれ
1953年 磯井如真(「蒟醤」の人間国宝)に師事する
1960年 岡山大学教育学部美術科卒業
1975,81年日本伝統工芸展文部大臣賞受賞
1994年 重要無形文化財「蒟醤」保持者に認定

籃胎蒟醤文箱 蝶

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