本件は、鹿児島県前原(まえばる)遺跡から出土した縄文時代早期の出土品一括である。
調査の結果、旧石器時代、縄文時代草創期から晩期の各時期、古墳時代、平安時代の遺構と遺物が発見された。特に縄文時代早期前半期については、竪穴住居跡二十五棟、連穴土坑(れんけつどこう)十一基、土坑三百四基、集石遺構十五基などの遺構と、それらに伴う土器・石器等が遺構内や遺物包含層から数多く出土した。本件は、これら出土遺物のうち、縄文時代早期前半期の土器・土製品三十一点、石器二百三十五点の合計二百六十六点で構成される。
これら土器・土製品と石器の一括は、南九州における縄文時代早期文化の様相を知るうえで貴重な資料であり、その学術的価値は高い。