遠くまで連なる鮮やかな赤色の屋根と白壁、そして突き抜けるような青い空が印象的な作品である。スペインの強い日射しに照らされて真っ赤に輝く屋根の色を出すために、作者は下塗りや色の塗り重ねに様々な工夫をしている。一口に赤色といっても子細に見れば、日の光に輝いていたり、深い影を落としていたり、様々なニュアンスの赤色が変化しながら広がっている。このような作品から、三岸節子に対する一般的な印象として、炎のような赤色の絵の画家というイメージが連想されるようになったのであろう。作者が尾西市(現一宮市)の名誉市民となったのを機に購入された美術館としても記念すべき作品である。