狭貫彫堆黒松ヶ浦香合(忘貝香合)隠し彫「松」「波」「天」(象谷作/嘉永四年三月上納)
さぬきぼりついこく(わすれがいこうごう)かくしぼり「まつ」「は」「て」(ぞうこくさく/かえいよねんさんがつじょうのう)
工芸品 漆工 / 江戸
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玉楮象谷
- 香川県
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江戸時代後期 / 1851
- 蓋表に朱漆を塗り重ね、その上に黒漆を50回ほど厚く塗り重ね、黒漆を彫り下げて蛤に似た貝殻の形と「松山農 枩浦風 吹よせは 拾飛天忍遍 恋忘貝」の18字の和歌を彫り出し、朱の地には波文様の青海波を刻んだ堆黒(彫漆の一種)の香合である。文字の数だけ18合あるが、蓋裏の側面と身の合い口に歌の文字が一字ずつ隠し彫りされている。和歌は『後拾遺和歌集』の、「讃岐へまかりける人につかはしける」と詞書のある、中納言藤原定頼の「松山の松の浦風吹きよせは拾ひてしのべ恋わすれ貝」が出典である。
- 径8.6cm 高2.4cm
- 3合
- 香川県高松市紺屋町10-4
- 高松市指定
指定年月日:20150331
- 高松市
- 有形文化財(美術工芸品)
嘉永4(1851)年3月、10代高松藩主松平賴胤の命により18合制作されたうちの3合であり、堆黒で制作され、象谷の代表作の中でも最も風雅な趣がある。この功績により象谷は、「御茶道並」に昇進し、二人扶持を与えられている。
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