尾道の時宗寺院・西郷寺の本堂本尊として伝来。同寺は,正慶年中(1332-1334),時宗遊行六代他阿一鎮(1227-1355)の開基と伝えられ,本堂(重要文化財)は,遊行七代で当寺二代託阿(1285-1354)が文和2年(1353)に建立したものである。
本三尊像は,足利尊氏の念持仏と伝えられ,西郷寺の創建もしくは本堂建立の時期に造像されたものと考えられてきたが,平成25・26年度に実施された保存・修理事業において,観音菩薩立像と勢至菩薩立像の像内に納入品(紙本)があることが確認された。紙本には阿弥陀如来の印仏が押捺されており,そのうちの一つに,弘安8年2月18日の墨書が記されていた。納入品は造像当初のものとみられ,本三尊像は弘安8年(1285)に造像されたものと考えられるに至った。
元禄5年(1692)修理か。昭和41年5月に尾道市重要文化財に指定。