伊庭内湖の農村景観 いばないこののうそんけいかん

文化的景観

  • 選定年月日:20181015
    管理団体名:
  • 重要文化的景観

 湖東平野中央部に位置する伊庭内湖,水路が発達した集落と周辺の水田,繖(きぬがさ)山の一峰である伊庭山(いばやま)からなる。伊庭集落は,琵琶湖最大の内湖であった大中(だいなか)の湖(こ)に流入する伊庭川の三角州上の微高地に形成された集落であるが,内湖の干拓を経て,現在は伊庭内湖と呼ばれる大中の湖西端部,須田川となった小中の湖北端部に接する。集落東の繖山の豊かな湧水を源流とする伊庭川が集落中央を西へ流れ,縦横に発達した水路を介して水田に分水し伊庭内湖に注ぐ。近世,集落は現在の小字に継承される独立性の高い七つの町で構成されており,町の境界の多くは主要な水路と重複することが確認できる。水路の水は農業のみならず,各敷地から水路に延びる階段状のカワトを介し,魚の畜養など生活の中で利用されている。自動車の普及以前は舟運が中心で,水路を日常生活の主要経路とする屋敷構えが行われた。土地を最大限に利用するため,水路の石積み直上に建てられた「岸建ち」と呼ばれる建造物も特徴である。伊庭山から神輿を引きずり下ろし,集落を経由し伊庭内湖まで巡行する伊庭祭では,かつては水路を経路としていた。
 伊庭内湖の農村景観は,琵琶湖岸における水の利用及び居住の在り方を知る上で欠くことのできないものとして重要な景観地である。

伊庭内湖の農村景観

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