旧佐賀藩11代藩主・侯爵鍋島直大(なおひろ)自筆の歌譜。伝統的な雅楽譜と西洋の五線譜が併記されている。このうち1曲は、朱字の歌詞が「三条實美卿之御詠歌」、黒字が「鍋島閑叟之詠歌」であり、明治39年(1906)、これに直大が曲を付けたもの。明治4年に亡くなった父・直正(閑叟)と直大による時代を越えた合作と言える。
直大は明治15年から13年間にわたり、宮中の祭祀や儀式、雅楽などを掌る宮内省式部のトップにあたる役職を務めた。また、栄子夫人や娘たちとも一緒に歌唱や演奏を行うなど、公私にわたり雅楽を嗜んだ。