小原慶山(?-1733)は丹波国出身の画家。名は雅俊、字は霞光。京都、江戸と移居して、狩野益信(1625-94)に入門し狩野派を学びました。その後、長崎へ移ると、蘭渓若芝(1638-1707)に師事して、唐画を学んだと伝えられます。元禄年間に長崎奉行の御用絵師兼唐絵目利となったとも、宝永年間に唐絵目利に任ぜられたとも伝えられ、その職ゆえ、長崎滞在中の沈南蘋(1682-?)と唐館で対面できた数少ない日本人画家です。
本作品は、貿易で長崎にもたらされた56羽の珍鳥を、鮮やかな色彩で緻密に描いており、孔雀、白鷴、鸚哥、鸚鵡、文鳥、綬帯鳥(サンジャク)、火喰鳥など、さまざまな珍鳥が巻子装の画面に続々と登場します。精緻な描写や丹念かつ鮮やかな色彩からは、舶来の珍鳥のスケッチ集のようなものではなく、実見と写生の成果すなわち本画であることがわかります。巻末には垂直に伸びる樹木にとまる鳥を描いたのち、「慶山」(白文方印)が捺されています。舶来の珍鳥尽くしといえる本作品は、長崎奉行周辺からの発注と考えられます。
【長崎ゆかりの近世絵画】
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