「三社祭」とは旧平磯町磯前地内に鎮座する,酒列磯前神社と宮ノ上の摂社津神社,深川の末社起松神社の三社統合の祭礼である。応永年中(1394~1428)創建の起松神社の由緒沿革に「三社のご神体を神輿に納める神事あり」とあることから,祭礼はかなり古い時代に遡ることがわかる。神事とは,神威を高めるために神輿を海水に浸す磯出祭のことであろう。三社祭は神輿が海辺の御仮屋まで磯出(浜降り)するところから,別名「潮祭」の呼び名もある。祭礼の概要は,酒列磯前神社からの神輿出社に始まり,津神社,起松神社での五穀豊穣・豊漁,安全祈願の儀式を執り行った後,露払いの獅子を先頭に,定められた序列で5町内を巡行,浜辺の御仮屋へ渡御する。風流物は昼夜2日にわたり祭りを盛り上げる。神輿還御は翌日夕方となる。祭礼形態は,明治9年(1876)の「平磯村三所社祭礼定則」に基づくものであるが,南町,川向町,清水町,圷町,仲町が3年に1度,年番制での開催は昭和48年(1973)に取り決められたものである。