早朝、茅ヶ崎市南湖の西浜海岸に、茅ヶ崎市及び寒川町の各神社から神輿が集まり禊ぎを行う。神体や神輿、人が潮水を浴び、潮水がもつ浄化作用によってケガレを祓い弱体化した霊力が再生するという「浜降り」の祭祀儀礼は、古くから東日本の太平洋岸で行われており、茅ヶ崎もこの一つである。
市内、町内各社から約20~30基の神輿が集まって行われる。深夜に各社を出立し、市内、町内を練り歩き、海岸に集まる。寒川神社の神官による祝詞奏上、玉串奉納が行われる。その後、各神輿は砂浜を練り、時に海に入り禊ぎを行う。その後各社に帰り、それぞれの神事を行う。
茅ヶ崎市南湖に江戸時代からの旧家である鈴木家があり、祭り前日、海岸に寒川神社の神輿の神座をしつらえる。一間四方に砂を一尺盛り、四隅に青竹を立て、注連縄を張り、それに海藻をかけ、ハマゴウの枝を敷く。祭日には神饌(しんせん)としてワラサ(生魚)を供え、玉串を捧げる。
農耕に関係する五穀豊穣神事と禊ぎの祭礼が同時に複数の神社によって行われることが注目される。
浜降祭の由来は諸説あるが、鶴嶺八幡社の禊祓(みそぎはらえ)説、寒川神社の神輿が漂着した漂着神説などの伝承がある。