剣崎の獅子舞は、稲荷流一派である判官流の一人立三頭獅子舞である。獅子頭を被る人のことをマイコ(舞子)と呼ぶ。獅子舞は、前獅子(雄獅子で法眼とも呼ぶ)・中獅子(雌獅子)・後獅子の三匹、カンカチ(白虎面)がおり、笛10人前後・法螺貝1人・拍子木2人・歌係数名・旗持ち・提灯持ちの総勢30名ほどで構成される。獅子は紺色の手甲をはめ、だんだら模様の法被を着る。黄色のタケバカマ(唐草模様の袴)を履いて、左右の裾を足首の位置に合わせて紐を留め、足袋を履く。赤紐を太鼓に通し、はずれないように首と腰に結んで固定する。最後に獅子頭を被り、顎下で頭の紐を強く数回結ぶ。中獅子、後獅子も同様にする。太鼓は胸の高さに着ける。カンカチは鈴のついた紺色の手甲をはめ、裏地に縫い付けた紐を肩と中指に括り付け、獅子と同じ黄色いタケバカマを履き、左右の裾を足首の結び位置で結び足袋を履く。襦袢の上には光沢のある緑色の法被を着用し、頭上には手ぬぐいをのせて、白狐の面を被る。顔はすべて出し、紅白の紐で結った鋼の棒を首にかけて打ち鳴らし獅子を先導する。太鼓は高い位置に着け、両肘を張って打つのがこの獅子舞の特徴である。剣崎の獅子舞は、現在奉納は昼間であるが、昔は夜間に奉納された夜獅子であった。演目は、八幡宮神楽の舞、大聖寺の舞、神徳寺の舞である。それぞれの舞には獅子歌があって、複数の庭で構成される。「八幡宮神楽の舞」は、入波・三巴唐鳥・歌切り・撥見せ・三巴神楽・約物撥抜き岡崎・入波の7庭。「大聖寺」では入波・三巴東方・太郎・白鷺の舞・役尻拳岡崎・入波の6庭。特に白鷺の舞は、白鷺が舞うような形という特徴を持っている。神徳寺の舞は、入波・淵掛三巴・歌切り・取手返し・三巴狒々・岡崎・入波の7庭である。演目の最初と最後には「入波」を舞い、いずれの演目にも雨乞いを祈願する「岡崎」がある。このほか獅子舞が列をなして移動する道中笛もある。