パリの屋根

版画 その他

  • 浜口陽三  (1909-2000)
  • ハマグチ、ヨウゾウ
  • 昭和31年 / 1956
  • 銅版・紙・1
  • 18.4×18.5
  • 左下に刷番号; 右下に署名
  • 20回自由美術展 東京都美術館 1956

109
浜口陽三(1909-)
HAMAGUCHI,Yozo

パリの屋根
Roofs of Paris
昭和31年(1956)
東京国立近代美術館蔵


110
浜口陽三(1909-)
HAMAGUCHI,Yozo
魚とさくらんぼ
Fish and Cherries
昭和31年(1956)
東京国立近代美術館蔵


1930−37年渡仏してドライポイントやメゾチントの銅版画を学んだ浜口陽三は,カラー・メゾチントの技法で独自の画境を開いたが,日常の見慣れた事物を題材にしながら,ビロードのような静寂な闇ともいうべき黒い画面に内的な光を帯びた静物で知られる。
≪パリの屋根≫制作の前年頃から浜口はカラー・メゾチントに着手した。この作品はパリの屋根を,波のような音楽的律動感をもって幾何学的かつ装飾的にメゾチントで描いている。メゾチント独特の斜線のハッチングが地の闇を準備し,全体のくらい青のなかに中央部だけが暖かい橙色を帯びている。久々に懐かしいパリに戻った浜口の喜びと感激が伝わってくる。≪魚とさくらんぽ≫もメゾチントで,青い皿の上の幾何学的な魚のシルエットとリズミカルに配された赤い9個のさくらんぽという,装飾的なフォルムと色彩の構成の妙がある。両作品とも明暗の語調を基礎に色彩の精妙な効果が不思議な光を生み出している。


パリの屋根

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