工芸品 漆工 / 鎌倉
-
鎌倉 / 1307
- 木製で、やや裾の窄まった身の低い桶に弧状の把手を付した手桶。側面に、六枚の側板を立て、その上下を竹籤を四、五重に廻した二条の箍で締める、いわゆる桶造りで成形する。総体を黒漆塗とし、箍で区画した外側面上段および内面を朱漆塗とする。二条の箍は朱漆塗としていたものと思われる。桶の左右の木口に花形の立ち上がりを設け、内側を鍬形状に刳り込んだ角柱の提梁を渡して把手とする。底部は、底板を側面より一段上げて取り付け、高台状に一重の区を廻らす。高台の三方には素円の脚金具を打つ。底裏に、製作当初の銘文(一)と、後世の補修後の銘(二)の二種類が、いずれも朱漆で施されている。
- 総高24.2 口径34.2 底径31.8 (㎝)
- 1口
- 重文指定年月日:20190723
国宝指定年月日:
登録年月日:
- 国(文化庁)
- 国宝・重要文化財(美術品)
菜桶は、寺で「菜のもの」を運ぶための手桶である。底には、「□華寺常住徳治二年」及び「□提寺天文三年三月十六日」(後銘)が朱漆で記される。名称、製作時期、由緒が明確であるほか、後世の補修の際の銘文により、伝来のありさまがうかがわれる貴重な資料である。