静まり返る夜の暗がりのなか、ミミズクが光る眼でじっとこちらを見据えており、緊迫した空気が漂う。笹の葉叢の奥には、細い三日月ものぞかれる。かつて大観邸の庭には竹林があり、ミミズクがよく訪れていたと伝えられる。本作品にはそうした日常的な夜の光景が描かれており、鳥の羽毛や足先、重なり合う竹の葉、節などの表現に、細かく丁寧な観察もうかがわれる。
夜
横山大観
竹雨
洞庭の夜