夢の鳥

版画 その他

  • 池田満寿夫  (1934-1997)
  • イケダ、マスオ
  • 昭和37年 / 1962
  • 銅版・紙・1
  • 36.3×33.5
  • 左下に刷番号; 右下に署名
  • 3回東京国際版画ビエンナーレ展 国立近代美術館 1962

115
池田満寿夫(1934−)
IKEDA,Masuo

夢の鳥
Bird in a Dream
昭和37年(1962)
東京国立近代美術館蔵(作者寄贈)


116
池田満寿夫(1934−)
IKEDA,Masuo

化粧する女
Lady Making Up
昭和39年(1964)
東京国立近代美術館蔵


瑛九の勧めで銅版画を始めた池田満寿夫は,版画,素描,挿画ばかりでなく,小説や映画といった分野でも多彩な活動を展開しているが,常にある性的なモティーフを核に制作し続けている。先ず注目された銅版画においては,初期は激しさを秘めたドライポイントの刻線を特徴とし,しだいに面的な表現に移行した。
≪夢の島≫も≪化粧する女≫も,池田が版画家として脚光を浴び始めて間もない頃の作品で,引っ掻いたような線を特徴としている。前者はクレー風のモティーフの鳥と人間がせめぎあっているような,夢想的な光景である。後者はこの頃の代表作であり,ドライポイントとエッチングを併用し,ルーレットで彩色した作品で,題材は女の化粧という日常的な光景だが,机や椅子や化粧道具は変形されながらもしっかり強く描かれているのに対して,化粧する女はぽんやりと描かれて,アイロニカルな不在感が漂う。池田の私的かつ性的なヴィジョンをもった物語性がよく出ている。


夢の鳥

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