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おやまだじろう
小山田二郎(1915−1991)
OYAMADA,Jiro
鳥女(とりめ)
昭和57年(1982)
東京国立近代美術館蔵
幼少時から先天性の難病で特異な容貌を運命づけられた小山田二郎は,鋭敏な感性をもって,オブセッショナルな幻想性を描き出すシュルレアリスムと強烈な社会風刺性を特徴とする油彩や水彩の連作を制作した。「鳥女」は小山田の代表的なモティーフの一つで,鳥の頭部と人体をコラージュするシュルレアリスムの手法による人間性の象徴といえるが,優雅さと攻撃性の両方を備えて,小山田の女性像あるいは人間観そのものの擬人化となっている。この≪鳥女≫は鳥の頭をもつ女を正面から描き,老いた女王のようなモニュメンタルな肖像となっている。