長坂中形【ながいたちゅうがた】は、三間半の長い張り板に生地を張り、これに順次型紙をあてて糊を置き、乾かして後さらに裏面から表面の模様を合わせて型付をし、これを藍に漬【つ】けて、染めあげたものを称する。これには追掛型【おつかけがた】と称して型紙を二枚用いて複雑な模様を作るものもある。中形は浴衣のための模様の型紙で、より細かな模様の小紋型と区別して呼ばれている。この中形染は江戸時代における木綿の普及とともに浴衣染の技法として定着したと考えられる。
湯上りの一枚着で、藍と白がくっきりと浮かび、夏には遠目にも涼しさを呼ぶような工夫と技術があって、最も多くの人々が愛好した趣味をあらわす染色文化の一つである。