日本刀の鑑賞で、黒くみえる部分と白くみえる部分の境にみえる光輝く模様はとても大切です。この模様のことを「刃文(はもん)」といいます。この太刀の刃文はでこぼことした模様で、さまざまなかたちが入り乱れて賑やかな印象を与えます。特にこの太刀では丁子の木の実のような「丁子刃(ちょうじば)」と、半円の形をした「互の目刃(ぐのめば)」という刃文が複雑に交じり合っているのが特徴です。作者の長光は、13世紀に岡山県東南部の長船という地にいた刀工で、長光をはじめとした長船派(おさふねは)と呼ばれる一派は16世紀まで日本最大の刀剣の流派として栄えました。この太刀は長光の代表作のひとつで、室町時代にこの太刀が、貫(かん)という価値などをあらわす単位にして600貫と、大変高いものとされていたことから、全部で600巻の大般若経に結び付けて「大般若長光」と呼ばれました。もとは足利将軍家に伝えられた刀剣であったといい、やがて16世紀の著名な武将である織田信長が所持し、その後江戸幕府を開くことになる徳川家康に伝わり、家康の家来であった奥平信昌(おくだいらのぶまさ)へ贈られました。
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