東松山市の中央部に位置する、関東地方において有数の規模を誇る権現造の社殿。天保6年(1835)建立の本殿と幣殿、同11年の拝殿からなる。熊谷を拠点とする大工棟梁飯田和泉藤原金軌と、同じく熊谷で上州の彫物大工の系譜をひく飯田仙之助が手掛けた社殿は、素木とする外部の随所に精緻な彫刻を施し、この時期の特徴をよく示す。特に本殿の大きな妻飾は豪壮で、虹梁を三段重ね、彫刻を凝縮し、意匠性に富む。一方、本殿内部には絢爛豪華な極彩色を施し、幣殿・拝殿内部の彩色・絵画・彫刻も極めて質が高く、外観と好対照をなす。江戸後末期の関東を代表する神社建築として価値が高い。