その他の美術 書
平安時代の土地売買に関する古文書で、承和十四年(八四七)九月三日付の近江国八木郷墾田売券、天安元年(八五七)三月八日付の近江国養や父郷墾田売券、貞観七年( 八六五) 十月十五日付の僧高徳解の三通。第一・二通目は、売主が文字を記さない女性であるため、左手の人さし指の長さと関節の位置を墨で記す「画指」とよばれる署名が用いられる。対象となっている地所は近江国愛知郡内にあり、関係する史料より本来、東大寺に伝来した古文書の一部と考えられる。流出の経緯や時期は不明だが、古代における土地売買の実態、とりわけ当該地域に勢力を伸張した秦氏の活動をうかがい知ることが出来る。