アイヌの暮らしで培われてきた樹皮製の織物・着物をアットゥㇱと言う。腰機で織られる平織の反物で、素材となる樹皮にはオヒョウ、シナノキ、オオバボダイジュ、ハルニレなどがある。そのなかでもオヒョウの靭皮が最も衣服に適しているとされている
着物などのアットゥㇱ製品にはたびたび切り伏せや刺しゅうがデザインされる。施される文様はアイヌ語でモレウ(静かに・曲がる)と言い、晴れ着づくりは昔も今も夫を着飾らせるための腕の見せどころでもある。
平取町は、近現代に至ってもアットゥㇱの制作に力が注がれてきた地域である。今日においても主要なアイヌ工芸品として受け継がれ、後継者の育成や素材となる樹木の植栽が行われている。平成14年2月には「北海道二風谷及び周辺地域のアイヌ生活用具コレクション」が重要有形民俗文化財に指定され、その一部にアットゥㇱも含められている。平成25年3月には「二風谷アットゥㇱ」が北海道初の伝統的工芸品にも指定された。