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やまぐちたけお
山口長男(1902−1983)
YAMAGUCHI,Takeo
構成
Composition
1955年
東京国立近代美術館蔵
山口の絵画は,1950年代の末期に,「幾何学的な構成」から,「面」が拡大された抽象の様式へと変化していく。この作品はちょうどその境目に位置している。黄土色の,帯のような太い線(=形)から成る単純な「構成」で,地は黒である。黄土色の帯は,線のようにも見えるし,建物の構造の柱のようにも見えるが,じつは,単なる線でもなければ,現実の何かを単純化したものでもない。ここにこのように見える形そのもの,なのである。しかも,地の黒もまた,じつは「地」ではなく,それ自
体が形であり色彩なのである。