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竝
Hei(Parallel)
1968(昭和43)年
油彩、合板 182×182㎝
oil on plywood
個展(南画廓)
戦後の山口長男は、ようやく1961年になって南画廊で第1回の個展を開く。第2回は1965年であった。ところで様式の展開からいうと、この1965年からとそれ以前とが割合はっきり分かれている。それを一言でいえば、1965年以前は地の上に図たる形体が描かれていたのに対して、1965年以降は地と図の区別ができなくなり、画面全体が一つの大きな色面を形成するようになる、ということである。このころの山口が欧米の同時代の最新の美術動向にどれほど関心を寄せていたかわからないし、寄せていたとしてもその影響が認められるとは一概にはいえないが、このような山口の絵画に欧米の色面絵画とのあるパラレルな関係を見て取ることも不可能ではない。つまり、それほど山口の絵は造形的な新しさの問題をはらんでいたということなのだ。中央下寄りの横線と、画面左端の上下に少しひろがった縦のストライプの部分は、塗り残された部分としてではなく、画面の大半を占める色面と拮抗する部分として、画面の大半の色面とともにこの作品を構成しているのである。