美濃橋は,美濃市街地の北部,小倉山の西方を長良川が湾曲して流れる地点に架かる吊橋である。岐阜県技師戸谷亥名蔵を中心に建設が進められ,大正4年8月起工,同5年8月に竣工した。橋長113m,支間116m,幅員3.1mの単径間補剛吊橋である。
両岸に据えられたアンカーレイジに,鉄筋コンクリート造の主塔から吊るされた主ケーブルを碇着し,吊ケーブルで支持された橋桁を鉄骨トラスで補剛する。
美濃橋は,わが国に現存する最古の近代吊橋として,橋梁建設史上,高い価値がある。近代吊橋の要素を構造躯体全体に備え,建設当時わが国で最大級の支間を実現した,大正期を代表する吊橋として,重要といえる。