工芸品 / 奈良
- 奈良県
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奈良
- 鹿鞣韋製。一枚取りの横長十字形であるが、本来は箱形を成し、箱覆い等に用いられたと考えられる。表面は、中二区に赴きの異なる葡萄唐草文、他四区に飛雲、飛鳥を配する荒磯の景、聴衆を前に髭の人物が琴を奏でる図、山中読経するものの傍らに合掌して聴く比丘形の似人物の図などを表す。それらは、糊描きして筒わくに張り、火に熏べて色をつけ、糊を洗い落として文様を白く表す熏韋技法で表す。
- 縦66.7 横76.6 (㎝)
- 1枚
- 奈良国立博物館 奈良県奈良市登大路町50
- 重文指定年月日:19300523
国宝指定年月日:19521122
登録年月日:
- 東大寺
- 国宝・重要文化財(美術品)
文様の描線が流麗で、型紙様のものを用いた痕跡はないため、熏韋技法を用いたものと考えられる。当初は裏裂を具えていたことがその針穴と綾裂の残片によってうかがえる。
奈良時代熏韋の遺品は正倉院にも遺されているが、そのほかに類例は少ない。中国の神仙思想に基づく文様や、ペルシア風の葡萄唐草など、大陸文化の影響を強く反映した奈良時代の特色をよく示す優品である。