沢瀉威鎧〈兜、大袖付/〉
おもだかおどしよろい〈かぶと、おおそでつき〉
工芸品 / 平安
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平安
- 三行孔の革札を三枚重ねに揺組に緘み、薄く生漆を施した横綴板を三手打の細い萌黄、黄、紅糸をもって澤潟に象り、縦取りに脅している。耳糸、畦目、菱縫はすべて同式の紅糸で施してある。胴立挙前二段、後押付板、逆板、三の板、衝胴四段、草摺脇楯とも四間五段、ただし射向四段目、引敷一段目、脇楯四段目欠失。金具廻革所、裾文、八双金物など、全て欠失。大袖小札板六段。
兜鉢鉄地十二枚張八間星鉢。星一行六点腰巻一点、八幡座に星足孔あり。響孔左右二、真向三條、後中二條の星孔あり。しころ(革毎)五段、八幡座、眉庇、吹返包韋等欠失。
- 小札高6.3 幅2.9 兜鉢高11.5 前後径22.1 左右径20.3 (㎝)
- 1領
- 重文指定年月日:19540320
国宝指定年月日:19540320
登録年月日:
- 大山祇神社
- 国宝・重要文化財(美術品)
幅の狭い三手組糸をもって縦取りに威した手法は、古墳出土の挂甲残闕、正倉院伝来の挂甲残闕にも共通点があるが、平安時代の遺品としては、法隆寺伝来の澤潟威鎧雛形と本鎧があるだけで、現存鎧中最古のものである。当社では延喜の鎧と伝えているが、天慶の乱以後、前九年の役の間に作られたものと推定されている。