彩絵桧扇 さいえひおうぎ

工芸品 / 平安

  • 平安
  • 檜薄板34枚を銀製鳥形の要金具で留め、上部を糸で綴ったものである。表裏共に胡粉塗の上に雲母を引き、金銀切箔、野毛、砂子をまき散らしたうえに濃彩の岩絵の具をもって彩絵が描かれる。表には直衣を着た公卿、小袿を着た女房と女童を描き、松に州浜を添え、「ま、み、る、な、さ、か、の、の」の葦手文字を加える。裏には、州浜に紅梅の立木を表し、梅樹の下に火取母、水辺に片輪車などを配し、「な、水、と、の、へ」の葦手文字を加える。
  • 縦30.0 幅48.5 (㎝)
  • 1柄
  • 重文指定年月日:18990801
    国宝指定年月日:19521122
    登録年月日:
  • 厳島神社
  • 国宝・重要文化財(美術品)

檜扇は本来は公卿が儀式次第を覚え書きするため素木のまま用いられたが、平安時代以降、婦女の盛装時に彩絵を施し飾り糸をつけた檜扇を持つようになった。檜扇の古例は当社伝来の古神宝に含まれるものや佐太神社に伝わるものがあるが、本檜扇の特徴として歌絵が描かれていることが挙げられる。歌意については検討を要するが、平安時代に流行した歌絵文様の実際を示すものとして貴重である。また、濃麗な賦彩による作り絵で、引目鉤鼻の人物や金銀箔、野毛、砂子散らしの装飾などは、優雅な趣を呈し、平安時代後期の特色をよく示している。

彩絵桧扇

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