本件は、神奈川県伊勢原市の大山に伝承される、木製玩具の「こま」を製作する技術である。大山こまは、近世中期から盛んとなる大山詣りの土産物として知られ、家内安全や商売繁盛の縁起物として参詣者に買い求められてきた。ミズキを原材料として作られ、芯棒が太く、全体に丸みを帯びた重厚な形が特徴である。
その製作技術は、轆轤の回転を利用して部材の成形や彩色をする木地師の技術を伝えていて重要であるが、生業の変化等によって技術の伝承が難しくなっており、また、伝承者の高齢化も進んでいることから、早急な記録の作成を必要とするものである。