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北金ヶ沢のイチョウ

きたかねがさわのいちょう

概要

北金ヶ沢のイチョウ

きたかねがさわのいちょう

天然記念物 / 東北 / 青森県

青森県

西津軽郡深浦町

指定年月日:20040930
管理団体名:

史跡名勝天然記念物

イチョウは裸子植物に属する落葉高木である。中生代に栄えた植物の末裔といわれ、世界各地から多くの化石が発見されているが、現生のものは1科1属1種のみである。日本に自生は無く、中国(安徽省・浙江省)が原産で、室町時代に渡来したといわれている。日本各地の神社や寺院等に植栽されており、種子のギンナンは食用とされている。
北金ヶ沢のイチョウは深浦町北部、鰺ヶ沢町との境近くの北金ヶ沢地区の海岸から約200m内陸で、段丘崖の下に位置する。非常に多くの気根を出し、それらが地面に着き幹の一部となっていることから、目通り幹周22mとなり、樹高も31mに達する巨木である。このような巨木でありながら、枝をよく張り、樹勢も良好で、イチョウ独特の樹形をよく示している。また、当地域では古くから地域随一の巨木として知られており、近年、我が国で最大のイチョウであり、かつ樹木全体としては4番目の大きさであることも明らかになった。
このイチョウは人の乳房状あるいは鍾乳石状の気根が多数垂れ下がっていることから、母乳が不足した女性の信仰対象として「垂乳根の公孫樹」とも呼ばれ敬われていた。母乳の出ない女性が秋田や北海道からも願掛けに訪れ、気根にお神酒とお米を供えて祈る風習は昭和50年代まで続いていたといわれている。この地域は中世以降、西回り船すなわち日本海の海運により栄えた地域で、重要な港として知られている。イチョウの渡来時期から考えると妥当性に疑問が残るものの、14世紀後半に十三湊を拠点に栄えた安藤氏がイチョウの樹の付近に寺院を建立したとの伝説が残されている。
このように樹勢も良好でイチョウ独特の樹形をよく示し、信仰の対象として地域の人々にも慕われ大切にされているとともに、イチョウとしては我が国最大であり、最大級に成長した日本有数の巨樹としても貴重である。よって、天然記念物として指定し一層の保護を図ろうとするものである。

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