金銅三鈷杵 こんどうさんこしょ

工芸 / 奈良県 

平安時代 12世紀
銅製 鋳造 鍍金
長17.3 把長6.1 脇鈷巾5.3
1口
川端康成旧蔵

 鈷(こ)部、把(つか)ともに厚みのある、重量感に富んだ金銅三鈷杵(こんどうさんこしょ)。把中央の鬼目(きもく)は二重の輪郭を持ち、大きく、高く突出している。蓮弁帯は間弁付きの八葉素弁で、3本の素文紐で約されている。弁先には丸みがあり、弁の中央縦に緩く稜線を表している。蓮弁の外側にはしべにあたる部分に一段を作っているが、しべの筋や連珠は表していない。脇鈷(わきこ)はきれいな弧を描いて曲がり、強い張りを見せている。脇鈷の根元近くに嘴形(くちばしがた)を作り、その先端に鳥の嘴を連想させる2個の窪みを作っている。脇鈷の稜線から中鈷の根元にかけ、やや幅の広い樋(ひ)を通している。中鈷は各面に僅かな反り(匙面(さじめん))を作っている。脇鈷、中鈷とも先端部を鋭利に作っており、金剛杵(こんごうしょ)が本来持つ武器性を感じさせる。また、脇鈷外側の嘴形より先の部分は刃状を呈しているが、これも銛(もり)を思わせる奈良時代の古式三鈷杵にも通じる造形である。本品は川端康成旧蔵で、平安時代後期の三鈷杵の名品として知られている。

古玩逍遥 服部和彦氏寄贈 仏教工芸. 奈良国立博物館, 2007, pp.34-35, no.17.

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