銅三鈷杵 どうさんこしょ

工芸 / 奈良県 

奈良時代 8世紀
銅製
総長23.2 把長7.8
1口

 日本に密教(純密)がもたらされたのは平安初期に渡唐した空海らによるが、すでに奈良時代の仏教に密教の影響は部分的に見ることができ、この時代の密教は純密に対し雑密(ぞうみつ)と呼ばれる。本品はいわゆる古式三鈷杵のひとつで、雑密時代の遺品。空海以後の金剛杵とは異なり、銛のような鋭利さをそなえており、その点、古代インドの武器に起源を有する金剛杵のオリジナルな姿を伝えている。把(つか)は中心より外側が細く、断面は扁平な六角形を呈し、中央に三線一組の紐帯を巻く。三鈷のうち中鈷は把の基部よりいったん外に開く萼状の突起をつくり、さらに逆刺(さかし)のある三角形の鋒をつけ、刃面を面取りして鋭利さを加える。脇鈷も基部にやや太く整えた一段を設け、刃面に面取りをほどこした三日月形の鋒をつける。類例には正倉院宝物の鉄三鈷杵と白銅三鈷杵、福島・恵日寺(えにちじ)の銅三鈷杵、日光・男体山出土の銅三鈷杵などがあるが、本品は正倉院鉄三鈷杵にもっとも近く、恵日寺や男体山の作品よりも先行する要素を残している。

奈良国立博物館の名宝─一世紀の軌跡. 奈良国立博物館, 1997, p.289, no.53.

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