裸体美人

油彩画 

萬鉄五郎 (1885-1927)
ヨロズ、テツゴロウ
明治45年/1912
油彩・キャンバス・額・1面
162.0×97.0
東京美術学校卒業制作陳列 東京美術学校 1912

10
裸体美人
Nude Beauty1911年
油彩・麻布162.0×97.0cm
萬はのちにこの作品について、「ゴッホやマチスの感化のあるもの」と述べているように、画面からは炎のように揺れ動く下草の描き方にゴッホを、そして剛直な筆致で単純化された裸婦の表現にマチスを見いだすことは容易であろう。ただし萬は、明治末年から日本にようやく紹介されはじめた彼らの絵画を単に模倣したのではなかった。後期印象派からフォーヴィスムに至る近代絵画の根底にあって流れる、個の存在の発現という表現主義
されたデフォルマシオンなどの表現に自らの個性と、本能的な表現欲を盛りこむことを学びとったといえよう。日露戦争後近代的な市民意識の成熟を示しつつも、一方では個人の発現を抑圧するように、急速に西欧化され都市化の進む社会に対して、激しい表現と野性的、原始的なイメージを対峙(たいじ)させ、そこに近代人としての自我意識を打ち出そうとしたといえる。また、悠然と草上に寝ながらも手首をきゆっと曲げた裸婦のポーズに、後年の作品にしばしば感じられる独待の諧謔(かいぎゃく)性を見ることができるし、さらに赤と緑による烈しい色彩対比の好みも、すでに赤い腰巻と緑の下草の対比のうちに見られる。

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