うつつ

油彩画 

藤島武二 (1867-1943)
フジシマ、タケジ
大正2年/1913
油彩・キャンバス・額・1面
64.0×52.0
左上に署名
7回文展 竹之台陳列館 1913

9
うつつ
Half Dreaming
1913年
油彩・麻布 64.0×52.0㎝
藤島の画風は、黒田清輝のもたらした外光派絵画を基点にしながらも、その平明な自然観照をこえ、黒田にはなかった豊かな抒情性を特色としている。それは、明治30年代の浪漫主義文学の隆盛と新たな世紀末美術の紹介に呼応して描かれた《天平の面影》(1902年)や《蝶》(04年)に代表され、これらには耽美的で感覚的な情趣と優美な装飾性が強く示されていた。しかしその後の4年間にわたるフランス、イタリアへの留学によって、その表現は印象派的な視覚を保ちながらも、繊細で優美なものから、剛直で重厚なものへと一変した。この《うつつ》は、そうした変貌をとげた藤島が帰国後にはじめて日本で描いた作品である。藤島は自作について、「夢幻的な心境を描いてみたまでであって、若い女がクッションに凭(もた)れて憩んでいるポーズで、日本の古代の刺繍をした綸子(りんず)の着物をつけている。窓辺に軟かな光線を浴びて、うっとりとしている姿に興味をもった」(「足跡を辿りて」)と語っている。しどけない女性の姿とまどろむような眼差しは甘美でさえあり、それはかつての耽美的な情趣と共通するが、一方で留学中の剛直な筆致はやわらかく平明なものとなり、その後の藤島の作品を特色づけるものとなっている。同時に、これは《匂い》(15年、東京国立近代美術館蔵)を経て、《東洋振り》(24年)や《芳欺●》(26年)までの女性像に「東洋的な典型的美」を求めた一連の作品の端緒になったともいえる。

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