労働者

油彩画 

前田寛治 (1896-1930)
マエタ、カンジ
大正14年頃/c.1925
油彩・キャンバス・額・1面
65.0×53.3

24
労働者
Labourer
1925年頃
油彩・麻布 65.0×53.3cm
1922年末ヨーロッパに留学し、パリに落ち着いた前田寛治は、ベルリンからやってきた中学時代の旧友のマルキスト福本和夫(当時は山口高等学校教授)と再会し、思想的に深く感化される。こうして、一連の労働者、工場などの作品が描かれた。これもその1点である。留学直前の前田は一種の点描法で描いていたが、パリ滞在時にクールベをはじめとするヨーロッパの写実主義的伝統を研究し、それは帰国後、《黒衣婦人像》(1925年、東京国立近代美術館)のような形態把握のしっかりした重厚な作品に結実した。そうした形態把握の厳密さはこの作品にも見られる。他の労働者を描いた作品が、あまり構成感覚をもたず、どちらかといえば労働者の「生活」を強調したものであるのと比べると、この、かつての点描法をおもわせる筆触で描かれた労働者には、どことなく聖者のおもかげがある。前田はこの絵によって、労働者という人問存在そのものを称えようとしているのかもしれない。そうおもわせるまでに、背景は明るく、オーラのように輝いている。

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