慈照寺東求堂
この建物は文明十八年(一四八六)西芳寺(苔寺)の西来堂に模して池の北隅に南面して建てられた持仏堂である。寛保二年(一七四二)、文政年間(一八一八~三〇)頃の修理で仏埴や北六畳室が改修されていたが、昭和四十年の修理ですべて建立当初の姿に復原された。内部は持仏堂と同仁斎と呼ばれる小室そのほかの四室からなる。
持仏堂の床は板張り、小組格天井、正面に桟唐戸を吊り込んでいる。同仁斎は四畳半敷で、付書院と違棚を備え、「いろりの間」(墨書)とも呼ばれている。建築全体の木割は細く、角柱面取、舟肘木、疎垂木の清楚な建物で西外面に腰掛状の床があるのは珍しい。
【引用文献】
『国宝辞典(四)』(便利堂 二〇一九年)