西院回廊の西方に建つ桁行十九間の南北棟建物で、南七間を三経院、北十二間を西室とする。現在の建物は寛喜三年(一二三一)の再建で、西室は文永五年(1268)に建立された可能性が大きい。
西室北端の一間のみ土間床で他は前面板敷とし、三経院の三方には高欄付の縁を設ける。軸部は自然石礎石に丸柱を立て、組物は大斗肘木、軒は角垂木一軒とし、広庇は一軒疎垂木である。
三経院は寝殿造の対屋を思わせる住宅風仏堂であり、西室は二間一房制の僧坊の外観をよく伝える。法隆寺西院伽藍の西にあつて、東の聖霊院及び東室とともに上代寺院三面僧房の俤をのこす。