本寺地蔵堂に祀られる三尺の来迎弥陀立像で、桧材、一木造、玉眼嵌入、像表面は漆箔仕上げとし、更に内刳り部にも金箔を押した丁重な造像である。像内から表記の納入品が発見された。そのうち造像願文によると、本像は建暦二年(一二一二)法然上人の高弟源智が師の一周忌を期して発願造像したことがわかる。その作風は著名な仏師快慶が確立したいわゆる安阿弥様を忠実に学んだものであるが、面貌や衣文の彫法には、この頃の快慶作品にはみられない力強いところがある。作者としては快慶の直弟子行快あたりが想定され、制作年時も明らかな佳作として注目される。また、像内納入の結縁交名には数万に及ぶ夥しい人名が記され、本像造立の背景にあった鎌倉初期専修念仏教団の実態を如実に伝えている。