染付白鷺図三脚皿〈鍋島/〉
そめつけしらさぎずさんきゃくざら〈なべしま〉
工芸品 / 江戸
- 佐賀県
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江戸
- 白磁胎を轆轤挽き成形した円形皿。腰から口縁にかけて張りのある曲線を描いて立ち上がり、高台は蛇の目に低く削りだし、高台外側の三方には葉形の脚を付けている。全面に透明釉をかけるが、高台底部は露胎で、針積みの目跡が外に二十個、内に十四個残されている。
文様は薄瑠璃時に、染付で一枚の大きな蓮葉を下辺に描き、その蓮葉の脇に佇む三羽の白鷺を白ぬきで表している。皿の裏側には染付による木蓮の折枝文を三方に配す。三脚の表面には染付の濃染を施し、高台外周に染付の線を二条めぐらせている。
- 高8.6 口径28.1 底形17.6 (㎝)
- 1枚
- 佐賀県立九州陶磁文化館 佐賀県西松浦郡有田町戸杓乙3100-1
- 重文指定年月日:19890612
国宝指定年月日:
登録年月日:
- 佐賀県
- 国宝・重要文化財(美術品)
鍋島焼は、江戸時代に九州肥前国を領有していた佐賀藩が、藩の什器や献上に供する器物を焼造するために直接経営に携わった藩窯である。その開窯の時期は判然としないが、延宝から天和年間のころに規矩を整え、卓越した技術を駆使して、染付、色絵、青磁などに独特の優美典麗な作風を樹立し、十七世紀末には最盛期をむかえていたと推測される。
この皿は、低く削りだした高台の際に型抜きによる脚を付けた鍋島焼通有の三脚の尺皿である。見込みの図は細く澱みのない染付の線描きとむらのない濃染めで蓮池に佇む三羽の白鷺が簡潔に表現され、静けさの漂う墨画的詩情を湛え、粛条とした風韻をかもしだしている。完璧な技巧を駆使して、品格の高い完成された作風をみせる染付尺皿の代表作で、鍋島焼の染付技術の最高峰を示す作品である。
裏面の三方に配された染付による小賀玉木の折枝文は、鍋島焼の最盛期の製品にみられる文様である。