歴史資料/書跡・典籍/古文書 その他 / 奈良
天平経の代表として著名な五月一日経のまとまった遺品で、大方等大集経の巻第一より第八に至る八巻を存している。各巻共本文料紙に脱漏はなく、巻末には天平十二年(七四〇)五月一日の光明皇后願文を存し、保存良好である。料紙は黄麻紙に墨界を一紙二十五行宛に施して用い、筆線の鋭い勁抜な書風をもって各巻一筆に書写される。五月一日経は聖語蔵に七百五十巻が伝存し、巷間にも流布しているが、本経のように同一経が巻次を連続して八巻具備しているのは稀であって、本文の筆蹟も天平写経生の代表的書風をよく示している。
解深密経巻第四(金砂子色麻紙)
続高僧伝巻第二十八(光明皇后御願経・五月一日経)
大威徳陀羅尼経巻第十五(光明皇后御願経・五月一日経)