絵画 / 平安
現在ある三重塔は、治承二年(一一七八)十一月京一条大宮より移建したものと考えられ(「浄瑠璃寺流記」)、塔初重内部の板壁に描かれている十六羅漢像はその描写様式よりみて当初のものと推定されている。 十六羅漢の像容は胡貌梵相のそれではなく温和な比丘相で旧聖衆来迎寺本に近く、描写はうす手で温雅な彩色と肥痩のある墨線によっているが、ことにその描線を強調した画風は次代の先駆を示すものとして注目される。いずれにせよ平安時代十六羅漢図の数少ない遺例であり、ほぼ制作年代の想定される点、本壁画の価値は高い。
弥陀堂内装飾画(板絵著色)
五重塔初重壁画(板絵著色)
絹本著色釈迦十六善神像