壁画は内陣長押【なげし】上小壁の内側に描かれた飛天【ひてん】図十面、飛行火舎【ひぎようかしよ】・華盤【けばん】・楽器【がつき】図五面と外側に描かれた阿弥陀如来並坐像【あみだによらいへいざぞう】八面からなる。
法界寺阿弥陀堂は、文献上、鎌倉時代はじめ承久【しようきゆう】三年(一二二一)から嘉禎【かてい】元年(一二三五)の間に再建されたと推察され、壁画も宋風の肥痩ある描線、控え目な彩色、自由でのびやかな像容など描写上の特色からみて、その頃制作されたとみて矛盾はない。当代、阿弥陀堂の堂内荘厳の一典型としてまた稀少なわが国の土壁壁画の遺例としてその価値は高い。