園城寺金堂 一棟
園城寺は、大友皇子の子与多王が創建したところと伝え、後に円珍(八一四~八九一)が再興し、延暦寺(山門)に対し寺門派を開いた。現在の金堂は、秀吉の遺志をついだ北政所によって慶長四年(一五九九)上棟され、同五年(一六〇〇)に入仏供養が行われた。規模の大きな堂々たる堂宇で、組物は二手先、和様の正統に属する桃山時代の代表的遺構である。内部は内陣を土間とし、密教寺院本堂の平面を保持している。内部の厨子もまた様式からみて同時代の作と考えられる。
【引用文献】
『国宝辞典(四)』(便利堂 二〇一九年)