梵鐘 ぼんしょう

工芸品 / 平安

  • 平安 / 839
  • 鋳銅製。竜頭は通常と異なり、葉状のものを三段に巻重ねた中央を束ね、左右を下に垂れて鈕状につくり、その上方中央に宝珠を据え、この左右に小さい竜頭をやや上向きに出し、その上額より蔓状のものを出して上方で連ねたものを据えている。笠形は小多価格盛り、二條の紐で内外区に分かち、鐘身は上方に曲率の多い肩のしまった形で、身の下端にはわずかに駒の爪をつくる。上下帯はそれぞれ異なる連続唐草文を鋳出し、撞座はやや小振りなつくりで竜頭との関係は古式である。その高さは肩までの三割にある。
    乳は四段五列で観世音寺鐘などと同形であるが、乳区内左右と下方を画くしてさらに内郭を造る。銘文は池の間一区に陽鋳し、外型は肩以下二段で、鋳上がりは美しいが体全面には擦痕がある。
  • 総高136.2 竜頭高18.8 笠形高8.2 肩以下高106.8 口径77.3 口厚6.7~7.1 
    撞座径10.6 撞座中心高31.8 (㎝)
  • 1口
  • 重文指定年月日:19531114
    国宝指定年月日:19540320
    登録年月日:
  • 西光寺
  • 国宝・重要文化財(美術品)

紀年銘のある梵鐘の中でも古鐘で、竜頭の意匠は他に例を見ない。鋳技が優れて、形状、文様など総体に平安初期の特徴を良く表す貴重な遺品である。西光寺に存する本鐘の由来書によると、永禄二年山中鹿之助が出雲国神門郡多福寺に寄附したのを、同寺の衰退により明治22年に売却した由が知られる。

梵鐘

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