高野切は紀貫之筆と伝えられる『古今和歌集』の最古写本。
『古今和歌集』の零巻は巻第一、二、三、五、八、九、十八、十九、二十の各巻にわたっているが、多くは断簡である。
首尾完存するのは、巻第五、八、二十の三巻である。
料紙は全て雲母をちらしたものを用い、通巻は一筆であるが、全体としては寄合書きで、(1)巻第一、九、二十、(2)巻第二、三、五、八、(3)巻第十八、十九の三種三筆に分かれる。
いずれも仮名書きの連綿の妙を極め、書写の時代は十一世紀中頃と推定される。
本巻は、首尾完存する高野切3巻中の1巻。巻第五秋歌下の巻子本の原姿を伝える。