台地上にあり、南面する前方後円墳とみなされるが、前方部はほとんど失われている。後円部は基底径推定約27メートル、高さ約5.70メートルを有し、ほぼ西南に面して横穴式石室が開口している。石室の羨道部は缺失し、前室と後室との二室のみが存するが、側壁は下方に巨大な板石を並列せしめ、上方に横に長く割石を積築して次第に縮約を見せ、天井石に達するもので、後室の奥壁には、左右に袖石を立て上に棟をもつ屋根形の板石を架した厨子状の施設がある。後室の長さ約3.45メートル、幅約2.75メートル、高さ約3.60メートル、前室は長さ■有する。
石室は古くから開口し、壁面の一部に馬を示す図象のほどこされていたことが知られていたが、昭和31年7月、清掃の結果、前室の壁面等に鮮麗な絵画の存することが明かにされた。これらの絵画は、円文、菱形文、三角文を復合した幾何学的な文様のほかに赤色によって馬を乘せた舟、屋形を配する舟等の復雑な図様も施されており、その異色ある表現は雄渾な筆致とともにこの種の古墳壁画の中においてもきわめて優秀なものである。