沃懸地螺鈿金銅装神輿
いかけじらでんこんどうそうしんよ
工芸品 / 平安
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平安
- 宝形神輿で轅の上に台框と框座を重ね、高欄なく柱を立て四柱にて屋蓋を支える。
屋蓋 蓋金銅地板に金銅宝相華文透彫を全面に張り、金銅宝相華窠文透彫と円形鏡面を散らす。上部の宝形露盤は各側面を二区の牙象に分け、金銅打出鳳凰文金具をうち、上に鳳凰を飾る。四方の降棟は金銅宝相華唐草文。
透彫 軒先金銅板金を下張りとし、四隅、中央に各々金銅宝相華唐草文透彫八双金具を打つ蕨手、金銅宝相華文毛彫板金を張り、先端に同文毛彫猪目透金具を冠す。下面に稲妻釘を打ち、四葉座切子鐶台緋網掛鐶を打つ。
胴部 桁、下框縁、沃懸地宝相華文瑠璃嵌装螺鈿。要所に金銅八双金具をうつ。三方柱間に障子を嵌める。
鳳凰 頭部胴部鋳銅鍍金。鉄製足ほぞを鋳ぐるむ。頭部別鋳、翼、尾部銅板毛彫鍍金。
帽額 金銅蝶宝相華唐草文透彫地に六面の金銅覆輪付四花形銀地鏡を付し、七条の金銅透彫花形垂飾を組み、先端に鈴を付す。
幡 金銅宝相華唐草文透彫地を三区に分す。各区に四花形鏡を張る。縁に玉装の痕を遺し。側面に金銅飛雲形毛彫板金を鋲留めにする。蓋形上方金銅宝相華彫二重座小刻付切子鐶台及び鐶を付し、下方金銅桜珞を下垂する。
花慢 円形金銅製八花鏡を張る。技法は同前。
帷 表 赤地菊唐草文金襴、裏白平絹の三幅仕立。
比禮 縹地牡丹文金襴、紺地菊唐草文金襴
総角 黄、淡茶、淡萌黄、淡紫、紺、白糸角打。
轅 断面撫角状、末方補足、金銅宝相華文猪目透彫金具を装す。台框下部に左右四個づつ飛雲形金銅板金を打ち、要所に金銅毛彫猪目透八双金具及び四葉座金具を打つ。
- 総高225.7 台框下底より鳳凰台上面まで149.0 台框下面より桁上面まで106.9
屋蓋高4.2 柱高91.0 鳳凰総高39.0
台框幅140.8 下框幅103.3 柱間98.1 轅長362.9 (㎝)
- 1基
- 重文指定年月日:19170405
国宝指定年月日:19560628
登録年月日:
- 鞆淵八幡神社
- 国宝・重要文化財(美術品)
屋蓋の傾配やや高く急で、その荘厳全面い宝相華唐草透彫金具を張ったのと、桁下框の沃懸地であるほかはほとんど誉田八幡の神輿と同形同様にして、現存神輿中の双璧と称すべきものである。